介護のプロだからこそ、一人で抱え込まない
先日、リョウリツにて顧問契約をさせていただいている
株式会社栄光会様 2か所のデイサービスにて
「仕事と介護の両立×利用者様の背後にあるご家族へのまなざし」
をテーマに、ミニセミナー&茶話会を開催しました。
当日は、あづま家デイサービス南部と南部デイキャンプの2会場に分かれ、
計11名の職員の皆様にご参加いただきました。
送迎業務後、さらに豪雨の影響もある中でしたが、
ご自身の家族や、これまで関わってきたご利用者様・ご家族の姿を思い浮かべながら、
熱心に耳を傾けてくださいました。


介護職だからこそ、抱え込んでしまうこと
前半のミニセミナーでは、仕事と介護の両立を取り巻く社会の現状や、
介護休業・介護休暇などの両立支援制度についてお伝えしました。
介護休業は、仕事を休んで自ら介護に専念するための制度ではありません。
介護が始まっても仕事を続けられるように、
専門職やサービス、家族との役割分担など、
今後の介護体制を整えるための期間です。
また、介護職は専門的な知識や技術を持っているからこそ、
「自分がやった方が早い」
「家族なのだから、自分が頑張らなければ」
「介護の仕事をしている自分が、人に頼るのは申し訳ない」
と、自分自身の家族の介護を抱え込んでしまうことがあります。
けれど、家族の介護において、すべてを自分で行う「プレイヤー」になる必要はありません。
専門職や介護サービス、家族、地域の支援者をつなぎ、
本人が大切にしてきたことや、これからの希望を伝え、
ケアチームのマネージャーになること。
それが、家族にしかできない大切な役割であることをお伝えしました。
自分自身の健康や仕事、キャリア、家計を守ること。
自分の人生を守ることが、結果として大切な家族を長く支えることにつながります。
元気なうちから、少しずつ話しておく
講義では、
「仕事中に、ご家族が救急搬送されたという連絡が入ったら、どうしますか」
という問いから、
突然介護が始まった方や、
一人で認知症の母親を支え続けた末に、仕事を辞めることになった方
の事例をご紹介しました。
介護は、準備が整ってから始まるとは限りません。
かかりつけ医や服薬の情報、緊急連絡先、保険証や通帳の保管場所、
家族間の連絡方法、地域包括支援センターの連絡先などを、
元気なうちから少しずつ共有しておくことが、いざという時の混乱を軽くしてくれます。
さらに、
「これから、どんなふうに暮らしたい?」
「今、何をしている時が一番楽しい?」
「もしもの時には、どんなことを大切にしてほしい?」
と、将来のことを重く構え過ぎず、
笑いながら話せるうちに会話を重ねておくことの大切さもお伝えしました。

利用者様の背後にある、ご家族へのまなざし
後半では、介護職として働きながら母親を支えている娘の事例をもとに、
ご家族に起きている変化について考えました。
直前の利用キャンセルが増えた。
朝の時間帯に電話が入るようになった。
以前より疲れた表情が見られる。
こうした小さな変化は、ご家族からのSOSかもしれません。
参加者の皆様からは、
「夜、眠れていないのかもしれない」
「キャンセルの理由を丁寧に聞きたい」
「送迎の時に、ご家族にも声を掛けたい」
といった意見が出されました。
デイサービスは、ご利用者様と継続的に関わるからこそ、
ご本人だけでなく、ご家族の変化にも早く気づくことのできる場所です。
家族まで自分たちで支えなければならないと抱え込むのではなく、
「いつもと少し違う」
「何となく気になる」
という気づきを、職場やケアマネジャーにつなぐことが、
早期支援への大切な一歩になります。
安心して経験や思いを語る茶話会
茶話会では、
「ここだけの話」
「否定しない」
「正解や答えを出さなくていい」
という約束のもと、参加者の皆様に自由にお話しいただきました。
利用者様の変化にもっと早く気づけたのではないかという思い。
ご本人の意思を尊重することと、安全を守ることの難しさ。
遠距離介護への不安。
きょうだいや配偶者との役割分担の難しさ。
普段はなかなか言葉にする機会のない経験や思いが語られ、
一人の言葉に、誰かがうなずき、また次の言葉が紡がれていく、温かな時間となりました。

「できない」から「できるかもしれない」へ
ご参加後のアンケートでは、研修内容について「分かりやすかった」の最高評価が91%、
自身の仕事と介護の両立に「とても役立ちそう」と感じた方も91%でした。
また、91%の方が、個別相談について
「必要になったら相談したい」
と回答してくださいました。
自由記述には、
「両立はできないと思っていたが、できるという希望が見えた」
「介護をすべて行うのではなく、どのような支援やサービスを使うかを決めていく役割だと分かり、少し気持ちが楽になった」
「親の好きなことや、どうしてほしいかを元気なうちに聞いておきたい」
「送迎の時、ご家族の変化にも目を向けたい」
「相談していいのだと知ることができた」
など、明日からの行動につながる声が寄せられました。
ご利用者様やご家族に、
「一人で抱え込まないでください」
「困った時には頼ってください」
と伝えている私たちだからこそ、
その言葉を自分自身にも、職場の仲間にも届けられる職場でありたいと思います。
安心して相談できる職場は、働く人自身を守るだけでなく、
ご利用者様やご家族への、より良いケアにもつながります。
自分自身の家族の介護。
そして、ご利用者様を支えるご家族への視点。
その両方を一緒に考えた今回の時間が、参加された皆様のこれからにとって、
少しでも有意義なものとなっていたなら、とてもうれしく思います。
このミニセミナー&茶話会は、来月以降も各拠点を順に回りながら継続していく予定です。
働きながら家族の介護を担う人がますます増えていく
これからの社会を支える、価値ある介護職の皆様自身が、
自分の人生も家族の介護も大切にしながら、安心して働き続けられる職場づくりを、
引き続きサポートしてまいります。
ご参加いただきました、あづま家デイサービス南部・南部デイキャンプの皆様、
貴重な経験や思いを聞かせてくださり、ありがとうございました。

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